新任課長!! 1年間の気づきと挑戦 -後編-

人生や働くこと

当ブログにお越しいただき ありがとうございます。ひさよろ です。

私は上記のような夢を持ち、会社員をしながら個人で『ゲーム制作』と『コーチング』を掛け合わせた活動を行っています。

ここでは、課長(代理)となった一年目で気が付いた組織運営で大事なコト。それに対してどんなことに取組んでいるのかを紹介していきます。前編として投稿した↓記事の続きです。

先に内容を言ってしまうと、古いやり方から抜けられない会社がDX(デジタルトランスフォーメーション)に向かうきっかけを作るために、某名刺管理サービスのトライアルを企画運営しているということ。部署を超えた前例がない規模での取組みにあたり、いろいろと努力していますよ、ということです。

ご興味がある方はお読みになっていただけると嬉しいです。

私の会社での立場

私は製品設計部門と営業部門を支援する課の課長をしています。2つの係で構成されていまして、以下のような役割を持っています。

  • 技術管理(図面、特許、契約書、IT機器や予算など)
  • CAE(コンピュータ解析での設計支援)
  • その他さまざまな庶務

こんな感じで合計100人以上いる部門の業務支援をやっておりまして、最近では部門内の「業務効率化」を推進することも求められています(なんとなくそういう雰囲気になっている)。私の経歴として、設計や技術営業をしてきましたが今現在どんなことをやっているのか、細かいところまでは把握していません。課のメンバーとなると他部署の業務内容は知らない状況。うーん、やれと言われても何をどうやって始めたらよいのか…。

鍵はやはりDX!

はじめに、部門内の「業務効率化」が求められている背景を説明したほうが良いですね。

世の中の技術革新は目覚ましく、流行りのビジネスもどんどん変化しています。今売っている商品だけでは将来がとても不安です。10年後には売れなくなるなんてことも考えられます。なので、今のうちに新しいビジネスを創出し、軌道に乗せることが経営層から求められているのです。

今やっている業務の質を落とさずに、新しいこともやる。しかも人は増やさずに。なんなら日本は労働生産人口がどんどん減っているので、今の業務を効率化することが必須というわけです。

じゃあ何をするの?というところですが、経営層から具体的な方策は示されません。現場に丸投げ状態だし責任を取ろうという意思も感じられない。そこでボールが回ってくるのは私の課です。業務支援をする課ですので…。

アプローチを考えるうえで、まずどんな風に仕事をしているのかを見渡してみると、部門のほぼ全ての業務はパソコンで行われます。今どき大体そうですね。なのでデジタル技術が解決策になるであろうことは予想できます。でも、経営層含め従業員のほとんどはデジタルのデの字も理解していない。今時に言うと「デジタルリテラシー」が低いということですね。

20年くらい前に私が入社した時から、みんな同じようにエクセルやパワーポイントを使っています。便利な機能が追加されていても古い面倒なやりかたを続けているし、ましてや世の中に便利なサービスが生まれても見向きもしない人ばかりです。

なので、何をしようか?の具体的な話をする前に、なぜやらないといけないのか?どのようにしようか?を示さないといけないなと思いました。そして、色々とネットで調べたり無料セミナーを聴講したりしてたどり着いたのは…。

今の我々にはDXが必要である
(ドヤっ!!)

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何ぞやということは話が長くなるので省きます。要は、デジタル技術を使ってビジネスを変革させよう!ということです(言うは易し行うは難し)。

今の会社の状況は?

DX(デジタルトランスフォーメーション)どころか、そのスタートラインにすら立てていないのが現状です。

いまだに紙の書類が社内を回り、業務の多くはアナログなまま。もちろん一部ではPDF化が進み、誰でもアクセスできるようになっている資料もあります。ただ、それらの規定やマニュアルはただ“ある”だけ。情報のつながりが整理されておらず、必要な情報を効率よく引き出す工夫もありません。

そこで、業務を効率化するために便利なクラウドサービスの導入を提案しても、経営層からは「それって本当に必要?」「投資対効果は?」と、疑問の声ばかり。なかなか承認には至りません。その一方で、「間接部門の人件費を削減しろ」というプレッシャーだけは強まっています。

では、どうやって人件費を削減するのか?その具体策や方向性について、経営から明確な指針が示されることはありません。だからこそ、私たちは現場で情報を集め、あれこれ考え、試行錯誤しながら提案を続けているのです。しかし、前に進む気配はなく、提案は空回りするばかり。

やがて「どうせ何を言っても無駄だよね」という空気が広がり、皆が声をあげなくなる──そんな悪循環に、今、陥っているのです。

みんな悩みは同じ

「どうせ何を言っても変わらない」

そんな愚痴を、いつも心の中でつぶやいていました。けれどある日、ふとしたきっかけで普段あまり関わりのない他部署の知り合いと話をしてみたところ、驚くほど同じような悩みを抱えていたのです。

彼もまた、業務改善のためにいくつもの提案を役員に出してきたそうです。自分の部だけだと小規模すぎて投資対効果を示すのが難しいとのこと。

ひさよろ
ひさよろ

他の部署でも同じことで悩んでいるんだね。
ちなみにどんなサービスの利用を提案したの?

他部署の同僚
他部署の同僚

○○会社の××ってサービスだよ

ひさよろ
ひさよろ

え、そのサービスの利用、うちの部署でも検討を始めたところだよ、今度その会社の営業の人と打合せする予定。

他部署の同僚
他部署の同僚

あーそうなんだ。その人会ったことあるし、無料トライアルも先月やったよ

ひさよろ
ひさよろ

それ、早く言ってよー!

今までは自分の部署だけで利用することを前提に考えていましたが、会社全体で利用すれば効果が大きくなるし、役員にも説得しやすくなる?

多くの人を巻き込んだ活動にすれば、自分を支持してくれる人も増えるのでは?

正しい行動は、やがて道を開く

実は、本業をやりつつも裏で温め続きていたネタがありました。

某名刺管理サービスで、他部署の同僚からの紹介でした。上述したように、外部サービスを使って業務効率化を行いたいというニーズは一つの部署に限った話ではないことが分かったので、社外の人から直接サービス紹介を受けられる場には、なるべく多くの部署に声を掛けようという流れになってきたのです。

そのサービス会社の営業担当から30分くらい話を聞いて質疑応答をして打合せは終了。こちらからの回答は「持ち帰って検討してみます」。いくつかの部署の同僚が参加していましたが、みんなの感想は「使わないな」です。確かに、その人たちの業務内容的にはこのサービスは要らないだろうと思います。

でも、私の感想は「うちの部ではとても便利だろうな(私自身は全く要らないけど)」

で、営業担当の方にお礼メールを送り、私の部署に特化した使い方の紹介をマンツーマンでしてもらいました。

やっぱり便利そうだな。主な機能は単なる情報管理目的に聞こえるけど、そこに付随して様々な活用ができそうだし、新しい気づきもたくさん生まれそう。

本業の合間に、営業担当の方と交渉して格安のトライアルを見積もってもらい、自部門のメンバーに紹介するための作戦を練り、2か月後に私企画でサービス紹介とトライアルでの導入検討評価を提案しました。

そして、私の提案するトライアルは、自部門だけではなく他部門も含めた全体での利用。そうしないと投資対効果が出しづらい、という問題に挑む形です。大がかりなのでものすごく面倒なものになりますが…。

同僚の反応は上々。特に部長が乗り気になってくれ、毎月行っている部長会で取り上げてくれました。そして他の部長もこの新しい試みに参加したいと申し出てくれたことにより、役員も渋々ですがトライアルをやることを許可してくれました。

格安トライアルの詳細を書くとそのサービス会社に怒られると思うので、ざっくりいうと、アカウント数は百数十個(各部でキーパーソンを選出して割当て)、9か月の期間で、3桁超える万円の金額です。

本契約の費用から比べるとかなりお得。でも、緊急性がなく、効果があるか分からない状態で、期中に突発で3桁超える万円の費用に対して許可を出してもらうことは、今までに前例はなかったと思います。

「言ったってどうせ変わらないよ」という考えしかなかったので、まさかこんなに上手く話が進むとは思っていませんでした。部長たちも「今の状況を変える何かをしなければ」と思っていたのだと思います。でも、その何かをやろうという人がいなかった。それが今回たまたま、私がやったことがハマったということなんでしょう。

共感を得るためには、まず自分をさらけ出すことから

私が企画したトライアルは、複数部門を巻き込んだ全社的な取り組み。となると、最初にぶつかる壁は――「誰が旗を振るのか?」という問題です。

本来、私の役割は自部門の業務効率化を支援すること。けれど、これは私が提案したプロジェクト。ならば、率先して動くべきなのは自分自身だろう――そう腹をくくり、「よし、やってやろう!」と決意しました。

とはいえ、関わるのは8部門(うち私が管轄しているのは2部門のみ)。相手は私のことなど全く知らない人ばかりです。そんな中、いきなり見ず知らずの人間が「こんな取り組みを始めましょう!」と声をかけてきたら、警戒されるのも当然。正直、少し怖かったです。

そこで、まず私が取り組んだのは、以下の3つの「自己開示」でした。

  • 自己紹介
  • 顔出しでのオンライン説明会
  • 毎週の進捗報告

関わるメンバーは百数十名。一人ひとりとじっくり話す時間はありません。でも、できるだけ私の想いや人となりが伝わるように、丁寧に、効率よく情報発信することを心がけました。

自己紹介

私はもともと引っ込み思案なタイプで、知らない人に対して最初から好意的な感情を持つことはあまりありません。だからこそ、相手も私に対して同じように感じるのではないか――という不安がありました。

自己紹介スライドを作って社内のクラウドサーバに保存し、メールの署名にそのURLを貼ること。↓な感じで。

Viva Engageといのは、Microsoft365のアプリの一つで、一言で言うと社内SNSですね。そこに業務日報や気づきを書いて同僚とシェアをすると、話題ができたり助けてもらえたりと面白いです。

で、自己紹介スライドの内容は、出身地とか会社での経歴に加えて、個人的な趣味趣向も入れています。私のことを良く知ってほしいので♥(めちゃくちゃ恥ずかしい)

社内SNSの投稿を見てもらう形なので、「イイね」を付けてくれる人がいます(嬉)

顔出しでのオンライン説明会

トライアルを進めるうえで、まず必要だったのは、百数十人に対してこの取り組みの趣旨や具体的な使い方を丁寧に説明することでした。

そこで私は、サービス会社の営業担当にも同席してもらい、複数回にわたってオンライン説明会を開催。参加できる時間帯を変えるなど、できるだけ多くの人が参加できるように工夫しました。

この説明会で私が特に意識したのは、「顔出し」であること。画面越しでも、表情を見せて話すことが、信頼感や熱意の伝達につながると考えたからです。

表向きの目的は、トライアルでサービスの有効性を評価すること。しかし私が本当に伝えたかったのは、これをきっかけに「社内のDXを前に進めたい」という強い想いでした。

本来なら、こうしたメッセージは経営層から発信されるべきもの。でも、残念ながらトップはトライアルに乗り気ではなく、部長たちに頼んでも、全社員に想いを届けるのは難しいと感じました。
「だったら、自分で言うしかない」――そう覚悟を決めて、私は自ら前に出ました。

↓が目的を説明した時のプレゼンの一部。

毎週の進捗報告

トライアル初期で最も重要だったのは、「実際に使ってもらうこと」。

具体的には、参加者に以下の2点を完了してもらう必要がありました:

  • webサイトにログイン&パスワード設定をしてもらうこと
  • 所持している名刺をスキャナに取り込んでもらうこと

これをしっかり進めてもらうことで、「初回ログイン率」と「名刺取り込み率」という2つの指標を達成できるかどうかが決まります。しかも、この数値には裏の“約束”がありました。

  • 初回ログイン率:100%
  • 名刺取り込み率:80%以上

この目標値を2か月以内に達成すること。格安でのトライアルを提供してもらう条件として、裏で握っていた目標値です。達成できなかったら罰金!ということはないと思いますが、営業担当の方が上司を説得するのに必要な約束だったそうで、私の予想として、名刺取り込み率が上がる=その会社のサーバへの名刺データが増えると嬉しいのでしょう。

それの話は置いておいて、目標を達成するために進捗は全体に連絡しました。頻度は毎週一回。メルマガ的に目標達成率と便利な機能を紹介して、皆さんが利用したいと思ってもらえるような働きかけをしたわけです。

また、誰が完了していないのかを把握できるので、個別にその人のところに赴き、偶然を装って声をかけるなんてこともしました(ストーカーかよ)。

あと、メルマガを送る時に心がけたのは、自己紹介のところと通じますが、自分の本音を伝えることです。こういう多数の人に文章で伝えるのって、どうしても形式的になりがち。受け取った人に「やらされ感」を与えてしまうものです。それを何とか自分の意志でやろうと思ってもらうために、私の想いや、トライアルの状況に対する悩みを添えるようにしました。

↓は一番最初のログインをお願いするときのメールの末尾です。

ここに書いた通り、最初の動き出しは怖かったです。なんせ、全く知らない人が大多数の活動に急に参加をお願いするのですから。

トライアルはまだまだ続く

この記事を書いている時点で、トライアルはまだまだ前半戦です。

目先の目標であった「初回ログイン率100%」「名刺取り込み率80%」は私の だんばり の甲斐あってか達成することができました!

一部の人からは「使ってみたらとても便利だね!」と声をかけてもらえました(嬉)。また、このトライアルの噂を聞きつけた専務から「参加させてほしい」と頼まれ、注目度が上がっていることを実感しています。

本契約をするかは、これからのトライアル結果次第になりますが、ひとつ社内に風を起こせたのは間違いないと思います。

まとめと隠れた闇

長々と書いてしましましたが、ここまでをまとめると以下の通りです。

  • この先のビジネス変革を実現するには、DXが必要!
  • でもITに疎い経営層を説得するのは難しい
  • 広く変化を求める声を集めなければいけない
  • 実はみんな同じ悩みや不満を抱えているけど行動を起こせていない
  • そんなくすぶった火種を燃え上がらせるには誰かが風を起こさないといけない
  • その風にみんなを乗らせるためには、自己開示、強い想いを伝えていかなければならない
  • 本気度が伝われば少しずつみんなが動いてくれる

ということが分かった、とうわけです。

とある部署の課長の分際ですが、部をまたいで大きな活動を主導することで様々なことに気が付きましたし、自分が成長できたことを実感できました。めでたしめでたし(終わっていないけど)。

しかし、その裏で身近な人たちの不満が大きくなっていくのであった。

というわけで

課長(代理)となって1年目に気が付いた問題点と、それを改善するために「風を起こそうとしたこと」について書かせていただきました。実際、風を起こしたと思っているのは私だけかもしれませんが、こういうことをする人がいるんだ、こういうことをしてもいいんだ、と思って後に続く人が出てくることを願って、これからも続けていこうと思います。と言いつつ、こんなことをやっているからゲーム制作をする時間が無くなるのだよ。

文末に書いた、後に気づくことになる問題は、また近いうちに記事にしたいと思います。

というわけで最後にいつもの、

みんなだんばれ!!

頑なに張るの「がんばる」ではなく、
弾むように張るの「だんばる」で、
一緒に人生を楽しみませんか?

最後までご覧になってくださったあなた、ぜひぜひX(旧Twitter)で交流しましょう!ゲーム制作をしていない方もウェルカムです。人生や働くことを楽しむために、日々くだらないことをつぶやいています。

以上です。

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